街路樹の日を溜め淡く春の色     久保田 操

街路樹の日を溜め淡く春の色     久保田 操 『おかめはちもく』  「春の色」とは「春光(しゅんこう)」の言い換え季語で、春の風光、春の景色を言う。立春の頃はあたり一面まだ寒々としているが、だんだんと春らしい日差しになり、温もりも増して来ると、万物生動する気配が漂い始める。枯芝にもうっすらと緑色が兆し、街路樹もなんとなく芽がふくらんで来たように見える。  この句はそういった春景色の柔らかさを街路樹に目を止めて詠んでおり、とても良い雰囲気である。  いい感じではあるのだが、「日を溜め淡く」の中七が少々散文調で説明臭さがある。これをもう少し抵抗無く流れるような措辞にすると、もっと良くなりそうである。さりとてあまりいじり回してはこの優しい感じを壊してしまいそうだから、せいぜい語順を変える程度の改良を考えてみよう。  と、あれこれ入れ換えてみた結果、「日を溜めて街路樹淡く春の色」が一番良いのではないかと思った。もうすぐ芽吹き始める街路樹のぼうっとかすんだような感じが、「街路樹淡く春の色」でより印象づけられるのではなかろうか。(水)

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