冬満月婚約せりと四十歳     堤 てる夫

冬満月婚約せりと四十歳     堤 てる夫 『この一句』  今日的問題を詠んでいて感慨深い。婚約したのが男性か女性かはっきりしないが、いずれにせよ四十歳というのはかなり遅い。女性だったら昔風に言えば「いかず後家」と、口さがない連中の噂話のタネにされてしまうところだ。しかし、今やそういう人が激増している。  昔と違って男女の交際は自由で、性交渉もかなり開けっぴろげな時代である。お互いの人となりや生活環境などはよく分かるはずなのに結婚しない。むしろそういう時代だからこそ、束縛を嫌って自由奔放に生きたいと願うのかも知れない。そのくせ男女とも結婚願望はかなり強く、結婚相手を紹介したり出会いの場を提供したりするビジネスが隆盛を極めているというから不思議だ。  「親がいつまでも生きていると思ったら間違い」と常日頃お説教していた子供が、四十歳にしてついに結婚相手を見つけたという。やれやれとほっとしたものの、次は「どんな相手だろう。変な人じゃなければいいが」と心配するのが親心。でもまあ、何はともあれ一安心。「冬満月」という季語との取り合わせがとてもよく響き合っている。(水)

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