日脚伸ぶ千歩加へしウォーキング  前島 幻水

日脚伸ぶ千歩加へしウォーキング  前島 幻水  『季のことば』  前欄に続いて「日脚伸ぶ」について、ヤブ睨み的な季語論を書かせて頂く。歳時記などでこの季語の作例を見ると、春の雰囲気を持つ作品が並んでいる。そのためは春の季語だったか、と勘違いしそうになったが、実は冬の季語であった。冬至から節分まで。これが「日脚伸ぶ」の時期なのだ。  一方、歳時記では「日脚の伸びを実感できるのは立春過ぎから」などと説明している。これ、矛盾ではないだろうか。冬の季語であれば、畳の目一つずつ伸びる、という、非常に微妙な冬の間の日差しの変化が句の対象にならなければならない。そんな難しい季節感を詠む、ということである。  ところが俳句作品はずっと大らかに詠まれていく。前欄、そして本欄の句を例に挙げてよさそうだ。私は二つの句ともに「日脚伸ぶに相応しい感じのいい句だ」と思った。その後に「冬の季語だった」と気付き、考え込んでしまった。日脚伸ぶはいっそ、春の季語と決めたらどうだろう。(恂)

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