詰め替える不幸話や小正月    金田 青水

詰め替える不幸話や小正月    金田 青水 『季のことば』  「小正月」は門松が取れた後の一月十四日から十六日あたりとされている。関西では十五日を「女正月」と言い、正月に多忙だった女性を労うための「正月」でもあるという。句の小正月も女性の集まりの雰囲気である。ある一家に女性の親族が訪れたのか。地域の女性の寄り合いかも知れない。  ともかく農村か漁村などの女性の集まりを想像してみたい。暮れのうちに村に不幸があった。正月の三が日は重箱に詰めたお節料理を家族で頂き、屠蘇が酒に代わる頃になると、話題はやはりあの不幸話になってしまう。松が過ぎ、日常が戻っても、特に女性には近隣の不幸が頭から離れない。  小正月、女性たちは重箱に詰めたご馳走を集会場に持ち寄り、膳に並べる。楽しいはずの集まりなのに口を開けば、やはり例の話になってしまった。もし都会の人々だったら、さらりと忘れてしまうだろう。正月に出た話が小正月にも…。この句は村人の情の深さを詠んでいるのだと、私は思う。(恂)

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