おほらかな妻七草の六日粥    谷川 水馬

おほらかな妻七草の六日粥    谷川 水馬 『この一句』  三が日が過ぎた。朝からお屠蘇を頂くような生活が終わると、一般家庭ではお正月が終わり、親は仕事、子供は勉強という日常が戻る。日にちの感覚が少々ぼやけてくるのもこの頃だ。五日、六日となり、八百屋などで七草のセットが売り出されると、七草粥は今日だっけ、という勘違いも生じてくる。  ご主人が起床すると、七草粥が出来上がっていた。「えっ、今日は?」。びっくりしてカレンダーを眺め、新聞の日付を確かめる。「おい、今日はまだ六日だぜ」。句の奥さんのおおらかな本領発揮は、むしろこの後のことだった。「あら、そうなの? それじゃ、今年は六日粥にしましょうよ」  その昔、「ウッカリ夫人とチャッカリ夫人」というラジオドラマや映画があったが、この夫人には双方の特徴がうかがえる。何ごとも完ぺきにこなすシッカリ夫人も悪くないが、家庭生活には柔軟性が必要だ。「そうだな。六日粥で行くか」と苦笑いするご主人がいて、一家の一年は順調にスタートした。(恂)

続きを読む