雪吊りの今は休めの姿勢かな     玉田 春陽子

雪吊の今は休めの姿勢かな     玉田 春陽子 『季のことば』    北陸、東北の豪雪地帯では雪の重みで庭園の松の木や果樹の枝が折れてしまう。これを防ぐ為に幹に沿って太い柱を立て、そのてっぺんから何本もの縄を垂らして、四方八方に広がる枝を縛って吊り上げる。これが雪吊りで、北国の冬支度の一つである。11月に入ると各地で雪吊り作業が始まるが、金沢の兼六園のものが有名で、テレビや新聞に毎年取り上げられ、冬の風物詩となっている。  この句も金沢吟行の作品。さすが金沢と感じ入ったのは、兼六園や寺社境内ばかりではなく、ごく普通の家の猫の額ほどの庭に植えられた小さな松にまで雪吊りが施されていることだった。我々が金沢入りしたのは11月末、まだ暖かくて雪の気配は全く無かった。張られて間もない新しい藁縄が香るようであった。「降る雪を待ちながら、今はまだ出番がなくてだらりとした感じの雪吊り縄を『休めの姿勢』と表現したのが眼目ですね」(水馬)という句評が全てを言い尽くしている。  雪吊りは三冬通じての季語だが、真価を発揮するのは仲冬から晩冬。この句は出番待ちの初冬の雪吊りの様子を実に上手に詠んでいる。(水)

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