氏神の大吉を引く初詣     髙井百子

氏神の大吉を引く初詣     髙井百子 『この一句』  一地域に長く住んでいると、氏神様との縁が自然に深くなっていく。子供が生まれれば「お宮参り」があり、その後に「七五三」が続く。年末が近づくと町内の世話人が来て、なにがしかの金額と引き換えに「お札」を配って行く。神棚に置く護符の類で、それを頂いて新年を迎えることになる。  お札のために毎年、お金を支払うのだ。当然、疑問も起きてくる。神社に何の権利があるの? と世話人に問う人がいるという。説明は難しい。一方、初詣は地元の氏神に、と決めている人もいる。地元の神様は地元民一人一人に気を配ってくださる、と考えており、句の作者もその一人なのだろう。  当欄前句の「産土神」と氏神は同じ、とみなしていい。呼び名はどうあれ、ご利益は地元優先である。子供たちは異性の友と連れ立ち、明治神宮など有名な神社に行くようになったが、作者は母親として「子供たちの分も」と氏神の御籤を引く。大吉であった。願いは氏神様がすでにご存じである。(恂)

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