のどぐろや濁音優し加賀言葉      大澤 水牛

のどぐろや濁音優し加賀言葉      大澤 水牛 『合評会から』(逆回り奥の細道拾遺・金沢吟行) 哲 「濁音やさし」の言葉から、心のこもった宿のもてなしが思い出される。 而云 宴会で急きょ「のどぐろ」を季語と認定したのだが、濁音に着目、何とも巧みな句に仕上げた。 双歩 加賀言葉の特徴が濁音にあるのかどうか。ともかく雰囲気の出ている句だ。 *         *         *  旅館の宴会に「のどぐろ」の焼き物が出た時、「おー」という声が湧き上がった。街の店なら一尾いくら、と値踏みしたくなる高級魚。「のどぐろは季語か」「季語ではないが、冬の季語と認定したい」。たちまち起こる「賛成」「賛成」の声。という訳で、この句が登場した。出来栄えは合評会の通りである。  「のどぐろ」は赤い色の美しい魚だが、喉の奥が黒いので日本海側ではそう呼ばれる。太平洋側での魚名は「アカムツ」という。伊豆方面でこの魚を何度か釣り上げた者として、関東でも「のどぐろ」と呼ばれ出したことが気に入らない。この濁音入りの野暮な名が、どうして日本中を席巻していくのだろうか。優しい加賀言葉に「のどぐろ」は何とも不似合いだ。私は句からそんな意味を勝手に汲み取った。(恂)

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