狐火を心の闇に見た気して      澤井 二堂

狐火を心の闇に見た気して      澤井 二堂  『おかめはちもく』  句の手直しはどの程度にしたらいいのだろうか。原句はなるべく尊重せねばならず、直す個所は最小限にすべきである。仮名をたった一字取り替えただけで、句の感じが一変することもある。そのような時こそが添削者の最も嬉しい時で、「やった」と会心の拳を突き上げる人もいるのではないか。  当欄が始まって以来、私は以上のような気持で添削に臨むのだが、時にはままならないこともある。実はこの句がその例で、句を見た瞬間、「灯りたり」という下五が浮かび、「これで行こう」と決めてしまったのだ。という訳で今回は「添削例」を早々と提示したい。「狐火の心の闇に灯りたり」である。  作者は狐火を心の闇の中に「見たような気がした」のだ。このような時、俳句では「見た」と言い切るべきだ、とも言う。ならば、心の闇に「灯った」としても意味はさほど変わらない。ただし上五の「の」を含めて、十七音中の六音、即ち三分の一以上を替えてしまった。やり過ぎだったのだろう。(恂)

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