冬滝やとめどなきもの中国語    大沢 反平

冬滝やとめどなきもの中国語    大沢 反平 『季のことば』  例えば盛り場でも、駅でも「中国語」をよく耳にする。最近、出かけた観光地ではさらに濃密だと感じた。話している言葉の意味は分からない。だから注意が、話し言葉の分量ばかりに向いてしまいがちで、日本語より中国語の方がずっと多い、と思ってしまうのかも知れない。  「とめどなきもの中国語」。作者は冬の滝を見ながらそんなことを感じたようだ。冬滝の見どころは氷結後である。完全に凍って氷の柱がそそり立ち、あるいは何百本の氷柱(つらら)が槍ぶすまとなって、滝つぼを目指して伸びていくような-―。しかし十二月の初冬の今はどうなのだろうか。  滝の凍結情報はまだ、ほとんど届いていない。関東の名瀑・袋田の滝(茨城)の場合だと凍結するのは一月下旬からだという。つまり作者の眼前の滝は滔々と水を流しているに違いない。作者は、その水量を眺めて「とめどなきもの」と感じ、周囲から聞こえる中国語に心を移したのである。(恂)

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