冬めくや鬼も濃い目のルージュ引く     野田 冷峰

冬めくや鬼も濃い目のルージュ引く      野田 冷峰 『この一句』  「意味がよく分からないのだが、イメージが鮮やかで何かを訴え掛けてくる」(涸魚)、「メスの鬼?あるいは女社長(笑)?自分のことかな?それは自分なりに考えればいいのでしょう。印象的な句だ」(而云)、「女房に鬼を見ているんだ」(臣弘)、「鬼と『ルージュ引く』の取り合わせがシュール」(正裕)などなど、句会を大いに沸かせた。  確かにこの「鬼」は、みんなそれぞれが思い描けばいいのだろう。極めて現実的に、テレビのバラエティ番組などに出て来るけばけばしいタレントだっていいし、電車の中で傍若無人、一心不乱に塗りたくっている女性を思い浮かべてもいい。幽霊伝説の妖艶な鬼女でもいい。しかし、あれこれ考えているうちに、そうした余計な解釈をぐたぐた並べる必要なんて無いんだ、ただ字面通り受け取ればいいのさと思えてくる。  もしかしたら作者にだって「鬼」の姿ははっきり見えていないのではないか。それでもいい。ふと頭の中に浮かんだフレーズが口をついて出て句になった。だからこそこういう不可思議な力を備えた句になった。(水)

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