初霜の畑に残る菜屑かな 徳永 正裕
初霜の畑に残る菜屑かな 徳永 正裕
『合評会から』(番町喜楽会)
冷峰 菜屑は来年の肥料になるんですね。そんな意味がある情景をよく詠んでいると思います。
白山 「初霜」がいいですねぇ。これは実際に作ったことのある人でないとわからない情景でしょう。私は、疎開時代を思い出しました。
百子 田舎に住んでいると、こんな景に出くわします。葉っぱに降りる霜は美しい。菜屑であっても。
大虫 白菜か。霜が降りる頃、菜の甘味が増す。うまい漬物ができるでしょう。
可升 菜屑が散らばっているだけでは、いい景ではないけれど、その上に霜が降りている。「初霜」という季語で風情がぐっと出てきますね。
二堂 菜屑の散らばっている畑は、うまい野菜が収穫できた証拠でしょうか。
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出荷するために外側の一、二枚を切ってきれいにする。畑には菜屑が残る。そこに霜がかかる。土の黒と菜の黄色、霜の白、汚らしく乱雑な菜屑を美しいものに仕上げた手腕は見事。(水)