新築の免震神社鵙日和     大熊 万歩

新築の免震神社鵙日和     大熊 万歩 『この一句』  近ごろは檀家や氏子を沢山抱えた大都会の有名寺社か、中小都市でも由緒があり観光客を呼び寄せる力のある寺社、この二つを除くと、ほとんどの神社やお寺が経営に苦しんでいるのだという。というわけで跡継ぎはさっさと都会に出て帰って来ず、無住寺や神主の居ない神社がどんどん増えている。腐れかかった社殿を建て直すなど夢の又夢といった寺社が多いのだ。  その中で、この神社はなんと恵まれていることか。免震対策を施した社殿を新築したのだ。神主さんは笑いを噛み殺し厳かな顔を繕って、鵙日和の青空の下、御幣を勢い良く降って朗々と祝詞を上げている。頭を垂れて畏まっている氏子の代表達も満足そうだ。  建て替えた神社の御祓いを鵙日和の下に繰り広げるという光景はありきたりで、それだけではなかなか句にならない。そこを作者は「免震」などという今どきの言葉を見つけた。これと鵙日和とをうまく取り合わせて一句をものした。この機知に深く敬意を表する。(水)

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