終活を主業と決めて秋の声      深瀬 久敬

終活を主業と決めて秋の声      深瀬 久敬 『この一句』  ちょっと古い辞書で引くと「しゅうかつ」の項は「就活」だけだったが、近年では「終活」が加わっている。ネット情報によると平成二十一年ごろから世間に広まった言葉だという。終活の専門誌も出版されており、月刊誌、週刊誌などの特集も相次いでいて、一種の社会現象になっているようだ。  周囲を見渡すと、誰も彼もが終活を始めているような雰囲気だ。ふと昔の受験勉強を思い出した。成績のいい奴ほど早く始め、最後までしっかりと勉強を続けている。それに対して成績の悪い私などは勉強に取り掛かるまでが長い。やっと勉強を始めたと思うと、すぐに飽きて漫画を読んだりしている。  句の作者が判明し、皆は顔を見合わせた。六十歳過ぎではあるが、句会の中で下から二番目に若い。「えっ、君が?」「しかも主業とは」などの声を聞きながら、私は頷いた。彼は大学の理系学部を優秀な成績で卒業し、スパコン「京」の開発にも参加していたという。優等生は終活でも優等生なのだ。(恂)

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