手の皺の目立つ齢や鰯雲     谷口 命水

手の皺の目立つ齢や鰯雲     谷口 命水 『合評会から』(番町喜楽会) 冷峰 実は最近、放射線治療にかかっており、自分の身体のあちこちを注意して見るようになりました。この句なんか自分のこと言われているような気がしまして・・。「手の皺の目立つ齢や」とは、まさにそういう気持ですねえ・・。 而云 人の手でもいいし、自分の手でもいいが、手の皺はよく目につきます。それにこの句は鰯雲を持って来たところがいい。句の雰囲気に合っています。 百子 鰯雲の季節になると空気が乾燥するせいでしょうか、手がかさかさして皺が目立って来るんです。それにしても「手の皺の目立つ」というのを俳句にするなんて、面白いなあと思いました。 可升 近景の手の皺と遠景の鰯雲の取り合わせが上手いなあ。なんで鰯雲、なんて言いっこ無し。噛んでるとだんだん味が沁みて来るような句です。           *       *       *  普段は手の甲をしげしげ見たりしないのだが、ふと皺がひどくなったことに気づき、ぎょっとする。この句は加齢への思いを詠んでいても、妙に深刻ぶったりせず、淡淡と言葉を紡いでいるところが実にいい。(水)

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