凌霄花スナック街の眠る午後     中嶋 阿猿

凌霄花スナック街の眠る午後     中嶋 阿猿 『この一句』  昨日に続いて凌霄花の句をもう一つ。  カウンターと二つ三つのテーブル席があって簡単な食事ができ、夜は酒場になるというのがスナックバー。そういう店が軒を並べている飲食店街をいつの間にかスナック街と言うようになった。英語を半分に切って、それに日本語をくっつける、日本人お得意の造語法である。大都市の繁華街の裏通りや、温泉町の一角などによくある。  もっとも日本のスナックバーは本家アメリカの軽食堂と違って、客の相手をする女性を置いたりして、もっぱら夜の歓楽酒場となっていることが多い。従って昼間はこの句のように通り全体が眠ってしまい、酒場のモルタル白壁を這い上る凌霄花の、濃厚な朱色だけが夏空をバックに息づいている。  暑苦しい真夏の昼下がり、凌霄花の濃厚妖艶な花びらが路上にもたくさん散っている。ほとんど人の通らない、日中の歓楽街は気だるさが漂う。そういう感じが良く出ている。(水)

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