枝豆と提灯の灯ビルの上      後藤 尚弘

枝豆と提灯の灯ビルの上      後藤 尚弘 『おかめはちもく』  ビルの屋上のビアホール。提灯が並び、卓上に枝豆を盛った皿が、という状況である。「灯」の「ひ」と読むとすると「中六」になってしまうのがまずい。こういう場合の常道として切字の「や」を入れてみれば、「提灯の灯や」となる。これで五七五にはなったが、まだ気に入らない。 漫然と言葉を並べたような感じなので、直すべき焦点が定まらないのだ。「提灯」の語があるだけで灯っていることは分かるから、「灯」は不要か。提灯だけでビルの屋上であることが分かるのではないか。いろいろ直してみたが、大手術になりすぎて、添削の限度を超えそうである。 枝豆が句会の兼題だった、と思い出した。そうか、句の中心は枝豆にしなければならなかった。上空が暗いビルの屋上の一角である。さほど明るくない提灯の灯が枝豆に当たり、緑色が浮かび上がっていることを示せばいい。「枝豆」と「提灯の灯」の並列状態を解消すべきであった。 添削例  枝豆に提灯の灯やビルの上      (恂)

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