六月の白杖の立つ日陰かな    鈴木 好夫

六月の白杖の立つ日陰かな    鈴木 好夫  『この一句』  非常に省略の多い句である。白杖の人がなぜ日陰にいるのかが分からない。一人で外出中なのだろう。日ざしが強いので日陰にいるのだ、と気付き、少しずつ状況が分かって来た。この人は何かを待ちながら、日陰に立っているのだ。そうか、信号が変わるのを待っているのだ、と了解する。  作者が立っているのは、横断歩道を渡る辺りの、日の当たる鋪道なのだろう。やや離れたところから白杖を見ているのだ。句から「見守っている」雰囲気も感じられよう。車が通過していく道路の信号が黄に変わる。横断歩道の信号が青になり、人々が動き出し、その人も歩き始めた。  青信号の時の音が聞こえている。彼は音に促されて横断を始めたようだ。作者は白杖を突いて進む人の後を追い、ゆっくりと歩いて行く。青信号はまだ点滅を始めない。白杖の人の歩みを見て「大丈夫だ」と判断し、歩を早めた。作者は向う側に渡ってから一度、振り返った、と思われる。(恂)

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