林道の一瞬の香や朴の花     宇野木敦子

林道の一瞬の香や朴の花     宇野木敦子 『合評会から』(三四郎句会) 有弘 一瞬の香り、見上げれば白い花。瞬間を切り取って新鮮です。 賢一 林道を歩くと青臭い匂いばかりだが、その中に一瞬、花の香りがぱっと匂った。  而云 朴(ほお)は大木で白い大きな花が咲く。私は実際に嗅いだ記憶はないが、いい香りだそうです。木の花に気付かず通り過ぎる時、ふと朴の花の香りがしたのですね。 進 山歩きならではでしょう。車で通り過ぎたらこういう体験は出来ません。          *           *  作者は本年傘寿にして若々しく元気いっぱいの女性である。城を見歩く会の幹事を務めるなどで各地を旅行しており、そうした体験から得た一句に違いない。朴はかつて年賀状の版木や高下駄の歯など、木材としてお馴染だった。今では俳句の夏の季語・大きな真っ白の花で知られるくらいか。沈丁花やクチナシなど、香りの強い花木は都会にも多いし、低木なので香りにも気付きやすいが、朴のような高木の場合は気がつきにくい。作者はチャンスに恵まれたのだろうか。いや嗅覚と注意力の成果だと思う。(恂)

続きを読む