闊歩する女まぶしき夏始 竹居 照芳
闊歩する女まぶしき夏始 竹居 照芳
『季のことば』
「夏始(なつはじめ)」は「初夏」の言い換え季語。夏を三つに分けて最初の一ヵ月を言い、五月ということになるのだが、まあ六月に入っても入梅までの爽やかな気分の頃なら通用する。
とにかくこの時期が一年中で最も過ごしやすい。最近でこそ地球温暖化の影響で夏日とか猛暑日などがあるけれど、七、八月とは違って風は涼しく、街路樹の蔭にでも入ればとても心地良い。
この句はそうした初夏の繁華街を生き生きと描いている。女性の時代と言われて久しいが、近ごろとみにその傾向が強まっている。特に若い世代と高齢世代で女上位が目立つ。若い二人連れなど、どう見ても女の方がしゃんとしている。七〇代以上では、これはもうバアサンが断然である。
「闊歩する女」とうたったのが素晴らしい。銀座通りなどを闊歩する女は昭和二〇年代からいたが、どちらかと言えば肩肘張って闊歩する感じだった。近ごろのは極めて自然に闊歩している。(水)