春の川アルプス溶かし白濁す 岩田 三代
春の川アルプス溶かし白濁す 岩田 三代
『合評会から』(日経俳句会)
二堂 雪解けの水ですね。アルプスを溶かし、濁っているというのは、目のつけどころがいい。
阿猿 雪解けで水かさが増して、水の色に白さが増しているのですね。山に堆積する何かが溶け出しているのでしょう。「アルプス溶かし」という表現は気が利いています。
水牛 アルプスなど高山の雪や氷が溶けて集まり、急流になって流れ出すと、白く濁って見えるんですね。いかにも早春らしい、鮮烈な風景が浮かんで来ます。
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高山からから流れ出る雪解川は玄武岩などの白い粒子が大量に溶けているため、白濁するという。ただし光線のぐあいや川底の状態などによって、色はさまざまに変わるらしい。以上はネット情報によるものだが、流れが緩くなると粒子が川底に沈んで行くのでエメラルドグリーンに変わっていく、という解説もあった。句を見て「なぜ白濁するのか」と思い、調べるといろいろなことが分かって来た。これも俳句の効用の一つだろう。白濁の川、それにエメラルドグリーンの川も眺めてみたいものである。(恂)