禿頭をすべりゆく風春浅し    大澤 水牛

禿頭をすべりゆく風春浅し    大澤 水牛 『日経俳句会』 弥生 「春浅し」の頃の感触がよく出ている句ですね。文句なしに選びました。 実千代 何と言っても「すべりゆく」という感じ。春先の風にぴったりです。 昌魚 本当にそうですね。これはまさに「春浅し」でしょう。脱帽しました。 悌志郎 風が禿頭をすべっていくというのが上手い。やはり禿頭の人の作だと思う。 正裕 春は浅く風は冷たいが、もうすぐ春風駘蕩の季節になるということを思い起こさせます。 反平 前もって作っていたコメントを読み上げます。「水牛の作か(大笑い)。あるべきものがないと、ことさら風が冷たいものだ。髪の薄くなった頭を小生も実感している」 阿猿 滑り行くと禿頭のコンビネーションがいい。禿頭の人は頭皮の感覚が研ぎ澄まされているようです。 哲 禿頭を叩くでもなく撫でるでもなく、「すべる」という表現に春先の微妙な風の様子が伝わってくる。             *          *   作者には最近、秀句が相次ぐが、当欄への掲載はこの句と決めていた。禿頭を詠んで実に快いからだ。(恂)

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