立春の光り届ける軒滴     高瀬 大虫

立春の光り届ける軒滴     高瀬 大虫 『季のことば』  気持よく晴れた午前十一時頃、としようか。テーブルに向かってあぐらをかき、新聞を読んでいると、一瞬、目の端に何かがキラリと輝いた。おお、そうか、とすぐに気付く。軒から滴がぽたりと落ちたのであった。新聞をテーブルの上に置き、ガラス戸の外に目を向けた。するとまたポタリ。  雨がやんだばかりで、軒の滴が落ちた、としてもいいけれど、屋根に積もった雪が解けて・・・がいいかな。いや、軒の氷柱(つらら)が解けて滴が落ちたとするのが、最もが感じが出ていると思う。何しろ今日は立春なのだ。あの透き通った氷柱の先からのポタリは、まさに春到来の報せである。  しかし、氷柱だとすると季重なりですね。そんな声が聞こえてきた。なるほど「氷柱」という言葉はなくても、私の頭の中で季重なりが起きていたことになる。しかし、この滴は絶対に氷柱の滴でなければ、と思う。明日、句会で作者に会ったら確かめてみよう。「あれ、氷柱の滴でしょう」と。(恂)

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