急かされてエプロンはずし初詣     池村実千代

急かされてエプロンはずし初詣     池村実千代 『この一句』  十二月末から正月の三が日あたりまで、一家の主婦の働きぶりには目を見張るものがある。十二月の半ば頃から、野菜類の値段を調べているという。家計を預かる立場として十円単位まで気を配り、保存の効くものは早めに買っておく。そんな言葉の端々に尋常ではない時期の到来を感じさせる。  あれやこれやの買い物に、大掃除、お墓参りと、目の回るような年末を過ごし、新年を迎えれば、さらなる忙しさが待っている。この句、男たちが酔眼朦朧の頃、孫たちが「お祖母ちゃん、早く、早く、初詣に」と呼んでいるのだ。「急かされてエプロンはずし」は、てんてこ舞いの状況を実によく表している。  かつて一月十五日を中心とする数日間は「女正月(小正月)」だった。正月に忙しく働いていた女性たちの骨休めの期間だったのだが、いまそんな風習の残る地域があるのだろうか。句仲間の女性の静かな言葉を伝えたい。「一日でもいいから、女正月の制度化を望みます」。彼女は“兼業主婦”であった。(恂)

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