かぶりつきしゃぶりつくして河豚の骨     高橋 ヲブラダ

かぶりつきしゃぶりつくして河豚の骨     高橋 ヲブラダ 『この一句』  これは極め付けの食いしん坊の句である。これほどまで楽しんでくれれば河豚も成仏間違いなしであろう。河豚は間違いなく美味い魚だが、本当の旨さは骨のくっついたアラ身にあるように思う。あの有田焼の大皿の、染付模様が透けて見えるように薄く削いで綺麗に並べた河豚刺しは、もちろん美味い。しかしその美味さは、あえて言えば通り一遍の美味さである。その味には見た目の喜びと、貴重品を頂く喜びが加わっている。つくづく旨いと思うのは河豚鍋で、皮や身や筋のついた骨をしゃぶる時である。  それも上品な高級料亭よりは、食い道楽が通う小上がりのある、亭主と内儀さんだけでやっているような小体な店がいい。気のおけない仲間三、四人と鍋を囲み、まずはひれ酒を一杯。鍋がぐつぐつ言い出す頃、熱燗を酌み交わしながら、河豚の骨付きを頬張るのだ。  この句の作者は今、仕事の関係で大阪にいる。人の懐どころか股ぐらまで見透かすような大阪の気風はあまり好きではないのだが、庶民的な「てっちり」の良さだけは東京には無い。この句にはそんな味わいがある。(水)

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