母植えしカエデの木々の落ち葉ふむ     池村 実千代

『おかめはちもく』  母植えしカエデの木々の落ち葉ふむ     池村 実千代  情感豊かな、とてもいい句である。しかし、「母が植えた楓の木の落ち葉を踏んでいる」と一本調子の報告調になってしまっているために、感興が薄まってしまう。叙述に工夫を凝らすと名品になりそうだ。  まず、「カエデの木々」とあるが、お母さんは楓の木を何本も植えたのだろうか。三本くらいならば「三本」と数を言った方がいい。七本も八本も植えたのだとすれば、それはもう「楓林」と言った方がいい。「木々の」がちょっと散文的ではなかろうか。  この句はまず最初に「落葉踏む」を持ってきて、「これは亡き母が植えた楓の落葉なのだ」と詠んだ方がいいのではないか。そうするとしみじみとした懐旧の念が強まりそうだ。しかもリズム良く流れるようになる。 (添削例) 落葉踏む母の植えにし大楓

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