冬夕焼け映し点滴壜揺れる    須藤 光迷

冬夕焼け映し点滴壜揺れる    須藤 光迷 『おかめはちもく』  合評会で「壜(びん)」が問題になった。点滴には壜より袋が多く用いられているのではないか、という疑問である。このところ「点滴袋に穴」といったニュースが続いており、袋が主流なのかな、とは思うが、私の句への思いは別のところにあった。「映し」と「揺れる」という二つの動詞のことである。  ベッドの上で点滴壜が夕焼けを映し、そして揺れている。それを見つめているのは病床の人か、見舞いの人か、どちらにしても無言なのだろう。深刻な病状なのだろうか。患者は無聊なだけかも知れない。なかなかの状況を描写していると思うが、句に詠み込む動詞は一つでいいのではないだろうか。  作者は俳句に一家言を持つ実力者である。「冬夕焼け映し」「点滴壜揺れる」と二つに分けて読むと、前衛句風な味わいも感じられよう。しかし私は俳句の要諦に従い、一点に絞ってみたい。動詞は一つ、夕焼けが壜に揺れている感じで・・・。憚りながら、私の添削例。「冬夕焼け点滴瓶に揺れてをり」(恂)

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