鰤の口真一文字の覚悟かな     久保田 操

鰤の口真一文字の覚悟かな     久保田 操 『合評会から』(酔吟会) 睦子 鰤は美しいですね。男っぽい魚だと思っているんですが。これはまな板の鰤ですね。口が真一文字でぎゅっとしまっている。かっこいい句です。 臣弘 近江町市場の見世物ですか?鰤の解体。切られる前のにらみ合いでしょうか。「真一文字」にその覚悟がよく表現されていると思います。           *       *       *  なんと言っても「真一文字の覚悟かな」という措辞がいい。鰤の精悍な顔立ちが浮かんで来る。マグロは大きすぎて、それに、まん丸のギョロ目玉が少し滑稽な感じがするけれど、鰤はかっこいい。  天然ものの鰤で体長一メートルを越すのは実に迫力がある。背中は黒味がかった青色、腹部は銀白色に輝き、鰓の所から尾びれの方に黄色の帯が走る。全身むっちり太って弾けそうだ。臣弘さんが言うように金沢の近江町(おみちょう)市場には能登半島一帯で上がる本場の鰤が並ぶ。口を真一文字に引き結んだ鰤が大見得を切っている。(水)

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