葱だけが背のびをしたりレジ袋     石黒 賢一

葱だけが背のびをしたりレジ袋     石黒 賢一 『合評会から』(三四郎句会) 有弘 レジ袋から葱が二、三本飛び出している。当たり前のことだが、そこが面白い。 信 私も買い物に行きますが、葱だけはレジ袋から出てしまう。半分に切ってくれる店もありますが。 崇 私も妻を介護しているので、日々スーパーに行っています。葱の束は必ずこうなってしまいますね。類想のありそうな句だが、ないかも知れない。 進 日常の風景をよく捉えている。日常過ぎる感じもありますが。             *          *  俳句における擬人法は両刃の剣である。分かり易く、面白い表現法なのだが、子供っぽくなり、いやらしくもなりがちだ。正岡子規は「月並俳句」を陳腐卑俗と批判し、その擬人法を否定している。しかし「擬人法は必ずしも悪くない」とも言っており、上手に使えば許される、というのが子規の本意だと思う。この句の“葱の背のび”は、まさに擬人法だ。機知に富む表現だが、「お花が笑った」的な幼さを嫌う人がいるかも知れない。擬人法には句を作る側と読む側の、双方のセンスが絡み合っているようである。(恂)

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