冬めくや駅に手作り小座布団     玉田春陽子

冬めくや駅に手作り小座布団     玉田 春陽子 『季のことば』  「冬めく」は「なんとなく冬らしい感じになったなあ」という初冬の季語。今年は秋が無くていきなり冬が来たような妙なお天気続きで、11月7日の立冬前後は朝晩など暖房を入れた。いきなり冬めいてしまったのであった。  これは田舎を走る単線電車(あるいはディーゼル車)の小駅であろう。もしかしたら改札口に箱がぶら下がっていて、「キップはここに入れて下さい」と書いてあるような無人駅かも知れない。  誰もいない待合室は冷え冷えとしている。次の電車までまだ二十分以上もある。ふと目をやると古びた木のベンチに小さな座布団が三つ四つ並んでいる。近所の人たちがせっせと縫って置いてくれたに違いない。朱い花柄の可愛い座布団に腰掛けると、温みが伝わって来る。その村全体がいかにも住みやすそうな村のように感じられ、心がなごむ。  「冬めく」という季語の感じをとてもよく伝えてくれる佳句だ。(水)

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