禿頭に冬めく風の触れにけり    田中 白山

禿頭に冬めく風の触れにけり   田中 白山 『おかめはちもく』 禿頭の冬めく風に触れにけり(添削例)  当欄「みんなの俳句」に『おかめはちもく』が新たに登場したのは本年八月の半ば。以来、(水)氏と不肖私・(恂)が一週置きに担当、試行錯誤を繰り返しながら、次第に形式が定まって来た。そして今回、もう一つ新趣向が登場した。合評会のコメントを生かした“合議制”である。  句の作者・白山氏の加入する「番町喜楽会」は句会の二回に一度、酒と肴の店を会場にしている。選句・披講まではアルコール禁止。合評会から解禁となり、にわかに賑やかになっていく。この句が「俎板」に乗った時は題材が題材だけに、何人もがしゃべり出し、録音が聞き取れなくなる有り様だ。  そんな中、廣田可升氏がふと口にした言葉で会場が鎮まった。「これ、“に”と“の”を入れ替えたら・・・」。皆さん、頭の中で「禿頭の冬めく風に」と変えてみたようだ。「その通りだ」「この方がいい」などの声が相次ぐ。作者は「この形も考えたのだが」と言いながら、快く変更に同意した。(恂)

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頼りなき日差し求めて布団干す  山口斗詩子

頼りなき日差し求めて布団干す  山口斗詩子    『合評会から』 春陽子 ウチのかみさん、布団を干す曜日や時間を決めています。やはり「日差し求めて」ですね。 水馬 今年の天気はちょうどこの句のような感じだから、句にリアリティがあります。 水牛 「布団干す」は冬の季語で、今日(11月7日)は立冬だ。この時期なら確かに日差し求めて、でしょう。陽に干すと布団が膨らみ、太陽の匂いが充満する。 何人かが口々に  そう、布団干しは何と言っても陽の匂いですよ― あれがなくてはなぁ― 膨らんだ布団に顔を埋めた時の幸福感― 布団乾燥機じゃ、そうはいかない― 流石の通販も陽の匂いは言えないよ―         *           *  かつて、この時期の晴れた日は、住宅街のあちこちから布団を叩く音が聞こえていたものだ。しかしあれはもう、過去の音と言ってもいいだろう。「強く叩くと中の綿が破壊される」などの情報が行き渡ったためだけではなかった。騒音被害が問題になり、賠償命令を受けた例もあったという。「ウチの場合、干したくても陽が当たらない」との声も聞いた。布団乾燥機の人気は・・・、そういうことであったか。(恂)

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