足音の絶えて秋日の百貨店     流合 研士郎

足音の絶えて秋日の百貨店     流合 研士郎 『この一句』  景気が一向に良くならない。アベノミクスは効果を上げていると当の安倍晋三さんや高級役人は言うのだが、庶民は全くそんな感じを抱けないまま“一億総不満社会”が出現している。  景気を一番実感させる「消費」が盛り上がらない。昨年まで“爆買い”と囃されていた中国人を中心としたアジア観光客の買い物ブームがしぼんでしまった。国内の住民の購買意欲はここ数年底を這いずっている。それやこれやでデパートは四苦八苦。ことに平日のデパートは、デパ地下と言われる食品売場こそかなりの客だが、他の売場は店員の方が多いくらいである。  不採算店が次々に閉鎖されている。首都圏周辺や地方主要都市のデパートがことに良くないようだ。しかし、これらの町ではデパートや大型スーパーが進出したため、昔からの魚屋、八百屋、雑貨店が潰れてしまっている。そのデパート、スーパーが突然撤退、閉店となると、地元住民は当惑するばかりである。日用必需品を求める場所が消滅してしまうのである。  この句はそういった状況を「秋日」を用いて鋭く描き出した。(水)

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