出棺に炎熱裂くやクラクション     玉田 春陽子

 出棺や炎熱裂きしクラクション    玉田 春陽子 『おかめはちもく』  ぎらぎらと照りつける太陽の下の葬儀。葬祭場の玄関前に霊柩車が横付けされ、回りを黒服の会葬者が取り巻く。しずしずと運ばれた棺が車に収まり、後部ドアが閉じられ、喪主が乗り込んで、全員合掌する中をやや長いクラクション一声、車はゆっくりと出て行き、告別式は滞りなく終了。  仏滅の日を除いて毎日繰り返される葬祭場風景だが、炎天下の出棺合図のクラクションは、鬱々とした温気を切り裂くように響く。  この句は「炎熱」という盛夏の季語を、極めてユニークな場面を提示して鋭く描いた。素晴らしい着眼であり、観察力光る作品だが、「出棺に」と置いて、「炎熱裂くや」「クラクション」と順序良く述べたために、ただ単に出来事を報告しただけという感じになってしまった。それに切れ字「や」の位置からして、「クラクション」の句のようでもある。  さあ出棺、という瞬間を際立たせるために、まず「や」の位置を入れ換えた。次ぎに「炎熱を裂いた、裂き続けている」を印象づけようと、完了・存続の助動詞「き」の連体形「裂きし」としてみた。(水)

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