うす闇に秋の声さがす網戸ごし     大平 睦子

『おかめはちもく』 秋の声さがす薄暮の網戸ごし     大平 睦子  「秋の夕暮れ」は万葉、古今の大昔から歌に歌われ、江戸俳諧にも沢山詠まれた。現代俳句でも然りである。人に物思わせる時間帯であり、一句詠もうかと思う人には魅力的な素材なのであろう。この句は、その夕暮れ時に感じる秋の気配を詠んでいる。  闇が降りてきて、そろそろ戸を閉てようかという頃合い。いわゆる「たそがれどき」(誰そ彼は、という時分)である。「うす闇に秋の声さがす」とは、そうした気分を遺憾なく伝えている。とても感じの良い句である。  ただ、冒頭に「うす闇に」と置き、「さがす」「網戸ごし」とつながるのが何となくだらだらと説明調になっている印象を受ける。これは「うす闇に」と「網戸ごし」が上下に泣き別れになっていることが良くないのではないか。さらに中七が「あきのこえさがす」と八音になって、もたついた感じである。ということで、主役の「秋の声」を頭に置き、「薄暮の網戸ごし」としてみた。  改作の方が句としてはスムーズな感じになるが、原句の方が抒情味豊かだという意見もあるだろう。この辺りはとても難しい。(水)

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