神々の住まふ出羽の地蝉しぐれ    渡邉 信

神々の住まふ出羽の地蝉しぐれ    渡邉 信 『合評会から』(三四郎句会) 敦子 神々の住まうのは出羽三山、月山、羽黒山、湯殿山でしょうか。この句にはあの山々の雰囲気があります。蝉しぐれが効いていて、とても気に入りました。 久敬 出羽という古い国名がいい。ちょっと芭蕉の句みたいですね。 而云 そう、芭蕉の「閑かさや」の句を思い出す。あの句が出来た山寺(立石寺)も出羽ですね。 信(作者) この前、山寺や羽黒山などに行った時、蝉はまだ鳴いていなかった。しかし鬱蒼とした山の様子を眺めていると、蝉しぐれが実際に聞こえてくるような気がしました。               *            *  東京方面から仙台経由・仙山線で山寺へ行くとする。誰でも「閑かさや岩にしみ入(いる)蝉の声」(芭蕉)の句を思い浮かべるだろう。続いて月山、羽黒山などを訪れるとどうか。それぞれの地の芭蕉の句が浮かび、山寺のことも蝉のことも忘れてしまう。ところがこの句は山寺から出羽三山をも覆うほどの「蝉しぐれ」を詠んだ。「奥の細道吟行」的な感覚では思いつきにくい、大きな網の掛け方である。(恂)

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