駱駝みな瞑りてをり天の川     今泉 而云

駱駝みな瞑りてをり天の川     今泉 而云 『季のことば』  七夕祭りは東京近辺では七月七日に行われているが、これは明治五年に実施された改暦によって機械的に新暦(太陽暦)に移してしまったものである。しかし、太陽暦の七月七日はまだ梅雨の最中で、天の川はほとんど見えない。旧暦ならば、例えば今年は八月九日が七夕だったから、空気の澄んだ場所なら天の川がきれいに見えたはずである。とにかく俳句では七夕も天の川も秋の季語である。  銀河がほぼ頭の上に来る晩夏から秋の夜空は澄みきって美しい。この句について、番町喜楽会では「月の沙漠の童謡を思い出した」「アンリ・ルソーの絵の雰囲気だ」という感想があった。確かに幻想的な絵巻の一コマを見るような句であり、句会でも大変に評判が良かった。  私は34年前、オーストラリア中央部のアリススプリングスで仰ぎ見た星空を思い出した。地平線から中天まで満杯の星で、妙な言い方だがプラネタリウムに居るような感じだった。この地には十九世紀末、英国人が内陸砂漠開拓のために導入した駱駝の子孫がたくさん増えていて、その専用牧場もある。まさにこの句の雰囲気であった。(水)

続きを読む