湿原は光はしゃいで夏休み     河村 有弘

湿原は光はしゃいで夏休み     河村 有弘 『この一句』  子どもたちが賑やかに駆け回っているとか、若い女性の明るい笑い声が聞こえるとか、夏休みのお定まりの情景を一切言わず、湿原の湧水に小波が立ち日の光が乱反射している、とだけ述べている。それだけで夏休みの小躍りするような感じを十分に伝えている。「光はしゃいで」という言い方が功を奏した。  近ごろの若い親たちは子どもと同じように、あるいは子ども以上に野外で楽しむ術を心得ているが、団塊世代以上の、ことに男親は「子どもと一緒の夏休み」に不慣れでぶきっちょだ。一年に一度の夏休みの家族旅行といっても、どうも場違いな感じでうろうろするばかりである。  ましてや孫も加えた三世代となるとますます大変。連れ合いは「おばあちゃん」とか「グランマ」とか呼ばれて大いに楽しんでいるが、こちらは蚊帳の外。まあそれも大いに結構、「仕事一途」を隠れ蓑に、家族を放り出したまま半世紀近くも自分勝手に過ごしてきた罰である。オジイチャンは湿原を吹き渡る風に身を任せていればいい。(水)

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