鉄瓶で紅茶を淹れて土用入り     池村 実千代

鉄瓶で紅茶を淹れて土用入り     池村 実千代 『この一句』  本日八月七日は立秋。昨日までの十八日間が夏の土用だった。土用が明ければ秋ということになって、デパートの贈答品コーナーは「残暑御見舞」となるのだが、日本列島はこれからが猛暑本番である。  この句、土用に入ったところを詠んだものだが、「心頭滅却すれば」などという言葉が浮かぶ今日あたりにも十分通用する。なるほどなあ、こんな風に一手間掛けて、灼熱の太陽から気を逸らす優雅な方法もあるんだなあと感心する。鉄瓶で淹れると言っても、何も紅茶を鉄瓶に直にぶち込むような乱暴をするわけではない。鉄瓶にたぎった湯で紅茶を淹れたというのである。どうやら茶道の心得が感じられる。  鉄瓶や茶釜で湧かした湯はまろやかになる。これで猛暑日の昼下がり、お茶など点てて、というのが風流の極致。しかし、さすがに炎天下の野点は御免被りたい。エアコンの効いたリビングで、それも今日は紅茶とケーキでね・・・オバサマ方の談笑が聞こえてくるようだ。(水)

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