水草の泡上りゆく金魚鉢     後藤 尚弘

水草の泡上りゆく金魚鉢     後藤 尚弘 『季のことば』  「アクアリウム」は水族館のことと思っていたが、いまは「水槽」だけでなく、そこで水草や金魚、海水魚などを育てるようなことも表すそうだ。中でも人気は「水草アクアリウム」だという。愛好家は気泡をたくさん出す種類の水草を選び、プカリ、プカリと浮き上がる泡を眺めて心を癒しているという。  本欄は前回の「金魚の泡」に続き、今回は「水草の泡」。かつて古い火鉢に水を入れ、金魚を買っていた経験からすると、どちらの泡も意外であった。池や甕(火鉢も含む)などに飼って、上から覗く限りでは、金魚や水草の泡にはまず気付かない。室内の棚など高い場所に置き、横から見るから泡が見えるのである。  さて、この句、水草の泡を詠んで、何となく淋しげだ。句を見つめていると、金魚が死に絶え、水草だけが残っている金魚鉢が浮かんでくる。ああ、あの和金も琉金も・・・、亡き金魚を想いつつ、水草の泡を眺めている。芭蕉の言う「しおり」とか「ほそみ」とかは、こういう状況を言うのかも知れない。(恂)

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