星涼し生きよ卒寿の五輪まで     直井 正

星涼し生きよ卒寿の五輪まで     直井 正 『この一句』  「星涼し」は夏の季語なのだ。なぜ「夏」なのか。「夏の星」の傍題だから、では説明にならない。夏の一刻、そよ風にふと涼しさを覚える時が「涼し」であり、その傍題に「晩涼」「涼風」「庭涼し」「月涼し」などが並ぶ。「星涼し」もこの系列にある夏の季語とした方が分かり易そうである。  作者は一九三〇年八月のお生まれだから、間もなく満八十六歳。その夜は星の光が涼しく感じられた。キラキラと輝く星を見つめつつ「あと四年たてば私は九十歳になり、東京五輪の年を迎える」という感慨を抱かれたのだ。「生きよ」はご自分への、そして同年輩の仲間への呼び掛けなのだろう。  ある句会の後だったと思う。八十歳を少し過ぎた方に「“九十歳まで俳句を作る会”というのを結成しませんか」と提案したら、即座に「大賛成」の答えを頂いた。以来、会の名称、参加資格などについて時々、考えている。作者にも賛成して頂けるだろう。目標達成は容易とお見受けしている。(恂)

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