母の日やアイロン錆びて棚の奥     今泉 而云

母の日やアイロン錆びて棚の奥     今泉 而云 『合評会から』(酔吟会) 反平 棚の中に錆びたアイロンを見つけて、お母さんを思い出したのでしょうか。いいですねぇ。 春陽子 捨てそびれた思い出のあるアイロン。それを母の日にひっかけたところが素晴らしい。視点がいい。 てる夫 昔のアイロンは使い古すと錆びますね。そのすごく古いアイロンから昔を思い出した。 佳子 昔のアイロンって、重たいし。お母さんは重労働だったのですね。そんな姿が浮かびます。           *       *       *  使い込んだアイロンは衣類に当てる底面は顔が写るくらいぴかぴか光っていて、上側は錆色にくすんでいた。どこの家でもお母さんが夜なべにアイロン掛けをしていた。甘えっ子はそのそばに寝転がってだだをこねたり、母親に寄りかかって何かをねだったりしていた。「母の日」という難しい兼題を亡母の古アイロンを持ち出して料理した。さすがはと感心しきり。(水)

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