病窓に強き光や薄暑知る 田村 豊生
病窓に強き光や薄暑知る 田村 豊生
『合評会から』(三四郎句会)
雅博 入院中ですが、よくなってきた頃でしょうか。「強き光」で、もう薄暑の頃だと感じたのですね。
有弘 病室という狭い空間から外を眺めていると、季節の変化に敏感になるのでしょう。
照芳 外は夏なんだと気付いた。いい句だと思いました。
進 変化のない病室の中、ふとした外の様子に季節を感じたのでしょう。
* * *
「病窓」という言葉は作者の造語だろうか。見慣れない言葉だが、病院、病室、病床という言葉があるのだから、病室の窓をそう言っても差し支えなかろう。句会に居並んだ人達も何の違和感も抱かなかったようである。こうして新しい言葉が生まれるのだという、きっかけを見た感じがする。
句意は皆さん言う通り、なんの難しいところもない。陽差しの変化を知る余裕が生まれた、すなわち退院間近をうかがわせる明るさが感じられる。(水)