迷彩服まとひて五月独鈷山 高井 百子
迷彩服まとひて五月独鈷山 高井 百子
『合評会から』(酔吟会)
反平 昨日信州で見た光景です。山の深い緑、黄色…を迷彩服と表現したのがいい。五月もいい。
臣弘 山の色とりどりを表現した。実景でしょう。
春陽子 素晴らしい表現力。迷彩服としたのが殊にいい。
正裕 五月の独鈷山の様子が目に浮かびますね。
佳子 緑にはいろいろあるんですよね。濃淡を迷彩服と表現したのがいいと思いました。
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上田市塩田平の南側を東西に連なる独鈷山。五月は新緑真っ盛り。杉桧など針葉樹の濃緑、椎の木など常緑樹は濃緑の枝の先に黄緑の若葉を光らす。それらを縫うように、春に新芽を出したクヌギやナラ、ケヤキなどの落葉樹が浅緑に輝く。皆さん評するように、「迷彩服」という言葉を発見したのが大手柄。あの山と谷が入り組む複雑怪奇な山容の独鈷山は、若葉の候ともなればまさに迷彩服をまとった弘法大師が独鈷振りかざし、でんと居座ったかのように見える。(水)