退院の後の外来更衣 田中 白山
退院の後の外来更衣 田中 白山
『合評会から』(番町喜楽会)
双歩 退院して、外来に・・・、当たり前のことですが、なかなかこうは詠めない。受付のホールの風景が一変していたのでしょう。雰囲気のある、とてもいい句だと思う。「更衣」が本当にいいですね。
てる夫 喜びに溢れた句です。入院の頃の気分が晴れて、更衣して病院に向かう。気分一新の句です。
百子 あの頃は冬だったが、外来に行ったら、病院の景色が一変していた。もうこんな季節なんだ、こんなになっていたのだ、と気づく。この視点の俳句はなかなか作れないでしょう。
高瀬 退院して、心身がすっきりして、衣替えして、通院に。いいところを詠んでいます。
可升 入院の間に季節が変わっていた。多少不安はあっても、前を向いて行けるということですね。
而云 入院後、初めての外来の日、夏服を着て病院に出掛けて行く際の句でしょうか。心身ともに軽くなっているのですね。更衣をこう詠むのか、と非常に感心しました。
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我々の生活の中で、このようなことが他にもあるに違いない。季語の奥は相当に深いと実感した。(恂)