ルッコラの菜飯に舅苦笑い     中嶋 阿猿

ルッコラの菜飯に舅苦笑い     中島 阿猿 『合評会から』(日経俳句会) 臣弘 「菜飯」は最早どこの家も作らないし、不味い。自分自身、菜飯の句を作れなかったから、思い切って「ルッコラ」という飛躍したものを選んだ。 智宥 水牛さんなら横文字の葉っぱなんか入れるなと言いそうで・・、この人の舅は苦笑いしただけで受け入れた。ユーモアがあっていい。 明男 思わず吹き出すような句。呆れているのが姑でなく舅というのがさらに面白い。           *       *       *  臣弘さんにはどうも敗戦直後の食糧難時代のトラウマがあるようだ。大根や得体の知れない葉っぱや芋づるを混ぜた臭い飯の思い出があるから、高齢者には「菜飯」への拒否反応がある。しかし、ちゃんと拵えた菜飯はとても美味しい。菜飯文化を復活させたいと思って、四月句会の兼題に「菜飯」を出した。どんな句が出て来るかなと思っていたら、なんとルッコラ菜飯が登場した。イタリアの菜っ葉で胡麻の香りがする。一風変わった菜飯になるだろう。実に面白い。この題を出しておいて良かった。(水)

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