龍天に登るロックのコンサート 加藤 明男
龍天に登るロックのコンサート 加藤 明男
『合評会から』(日経俳句会)
臣弘 野外でエレキギターなどの音が大きく響いて、龍が天に上がる様子がよく出ている。
昌魚 ドラムなんかが大きな音を響かせている。正に「龍天に」ですね。
正 ドラムやエレキのめちゃくちゃうるさい音の感じを「龍天に」に結び付けたことがうまいと思った。
定利 「龍天に」にロックコンサートを持ってきたのがすごい。
二堂 野外ロックコンサートで、空に大音響を出しているところが、「龍天に」にぴったりだ。
* * *
4人の評は文字通り「異口同音」。一読、その情景が音入りで浮かんで来る句だから、こうなるのだろう。「龍天に登る」は春分の頃の季語なのだが、この句には夏の気分がある。しかし、そんな詮索は無用である。三月の末だとて夏日を思わせるような日もある。若者達の熱気を感じて、淵に潜む龍だとて気が逸るに違いない。(水)