百千の胡蝶吐き出す大辛夷 大澤 水牛
百千の胡蝶吐き出す大辛夷 大澤 水牛
『六義園吟行コメント集から』(日経句会などが参加)
双歩 あの辛夷(こぶし)の大木をよくぞ詠いあげた。表現の巧みさ(少し大げさですが)に参りました。
智宥 胡蝶を吐きだすとは、ちょっと真似のできない表現にしびれました。私なんぞは辛夷と木蓮はどこが違うの? という水準ですから、とても敵いません。
正裕 満開の大辛夷が百千の蝶を吐くようだ、という表現はうなずける。
臣弘 大辛夷の白さを乱れ飛ぶ胡蝶に例えたのは、たしかに巧いですね。
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六義園(東京・文京区駒込)は東京の代表的な名園の一つ。徳川幕府の老中・柳沢吉保が下屋敷として造園した。和歌の浦など歌枕の風景を、園内各所に写したと伝えられる。三菱財閥の創業者・岩崎弥太郎が明治時代に購入、後に東京市に寄贈された。この季節の人気の的、枝垂れ桜は吟行の日は三、四分咲き、代わって満開の大辛夷が大勢の人を集めていた。樹高、枝張りはともに十辰鯆兇垢世蹐Α真っ白な花はさながら百千の胡蝶。よくもこんなに、と思うほど咲き揃っていた。(恂)