息子泣く雛の祭のバースデー 渡辺 信
息子泣く雛の祭のバースデー 渡辺 信
『合評会から』(三四郎句会)
久敬 なるほど、こういう現実もあるのか、と思いました。男の子の立場、親の立場が見えて来ます。
尚弘 なぜ泣くのか、と考えると面白い。これじゃボクの誕生日祝いじゃない、と。
而云 ボクの誕生日なのに、女の子たちの雛祭になってしまう、というのですね。
信(作者) これは私の孫のことで、三月三日生まれの男の子なんですよ。幼稚園では自分の誕生日がいつも雛祭で。母親に「ボクの誕生日は五月五日にして」と泣くんです。母親が「女の子たちがみんなお祝してくれていいじゃない」と言っても聞き入れません。毎年、たいへんなんです。
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句の表記は「バースデー」だが、合評会では発言者(みな中高齢者)も作者ご本人も「誕生日」と言っていた。「バースデーケーキ」「バースデープレゼント」などはすでに一般用語である。しかし俳句ではなるべく片仮名は用いないという人がいる。片仮名の外来語と旧仮名遣いの併用をどう考えるか、と問う人もいる。俳句における片仮名問題は難しい・・・。男の子の悩みの方は、いつか自然に解決するはずだが。(恂)