干しあげしオレンジピール二月かな 池村実千代
干しあげしオレンジピール二月かな 池村実千代
『この一句』
選句の際にさっと見た時、何となく気になったのだが、「オレンジピール」が分からず、思考は次の句に飛んで行った。翌日、この句を思い出し、インターネットで調べたところ、「ピール」は「peel」らしい。オレンジの皮を干して、砂糖が表面に浮き出た、あのお菓子か、とようやく気づいた。
広辞苑には「オレンジピール」も「ピール」も載っていなかった。ところがネット情報では検索項目34万とあるから、情報量は膨大なのである。このところ現代の奥様方にとってオレンジピールへの関心が高まっているに違いなく、作り方にもいろいろ工夫がなされているのではないだろうか。
ある作り方によると「天日干しで半日くらい」だが、「冬だと二日干す」とあった。作者は天気予報を気にしながらオレンジの皮を砂糖で煮詰め、丸い大きなザルに並べて、庭かベランダに干したのだろう。立春後のある晴れた日の夕方、作者は出来上がりにニッコリとし、「ああ、二月」と詠じたのである。(恂)