しゃぼん玉吹く子壊す子後追ふ子 高石 昌魚
しゃぼん玉吹く子壊す子後追ふ子 高石 昌魚
『合評会から』(日経俳句会)
二堂 「しゃぼん玉」の句はどうしても飛んで割れて七色というようになって、常識的で面白くない。この句も同じことを詠んではいるのだが、動きがあり、調子がいい。ああ、うまいことやったなあと思いました。
庄一郎 子どもが遊んでいる情景を、「吹く子」「壊す子」「追ふ子」とリズムを付けてお上手。
青水 既視感はあるが、やはりこの季語のこの光景。上手いものだ。
明男 しゃぼん玉に子どもが喜んでいる様子を詠んだ句で、当たり前といえば当たり前の景色ですが、なにせリズムがよいのに感心して選びました。
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どこかで見たような気がする句だなあと思いながら、採ってしまう。そんな句である。合評会の発言者もみんなそう思いながら採っている。まさにしゃぼん玉にはこれ以外は無いという情景なのだ。とんとんとんと詠み込んで、読者は思わず引き込まれてしまう、素晴らしい技巧だ。(水)